漫画感想

【感想】熱帯魚は雪に焦がれる(9巻完結)

2021年6月29日

 寂しがり屋な方におすすめ。

基礎情報

熱帯魚は雪に焦がれる9巻表紙
出典:熱帯魚は雪に焦がれる9巻表紙

作品名 : 熱帯魚は雪に焦がれる
ジャンル: 不器用なガールズシップ・ストーリー
漫画  : 萩埜まこと
原作  : -
出版社 : 株式会社KADOKAWA
掲載誌 : 電撃マオウ
レーベル: 電撃コミックスNEXT
発表期間: 2017年8月号~2021年5月号
巻数  : 9
状態  : 完結
アニメ : -

 都会の高校から、海辺の田舎町にある七浜高校へ転校してきた小夏は、周囲にうまくなじめずにいた。
 そんなとき、七浜高校水族館部のひとり部員である小雪と出会う。
 小雪は周囲から高嶺の花と思われており、そのイメージ通り振る舞うことに、少し寂しさと息苦しさを感じていた。
 異なる孤独を抱えて、お互い引かれたふたりは―――?

出典:熱帯魚は雪に焦がれる1巻裏表紙

感想概要

 おすすめ:★★★★☆
 気持ちが届いたとちゃんとわかった小夏ちゃんの中では色んな思いがあったんでしょうね。
 エピローグ、彼女たちの出会いを思い起こさせる終わり方、こういうの良いです。
 読み終わった後見るとカバーだけで泣きそう。

Sample

登場人物

・天野小夏
 主人公。
 1年生の時に父親の仕事の都合で単身叔母の元へ、七浜高校に転校してきた。
 周囲となじめずにいたところ、小雪と出会い水族館部に入部する。

・帆波小雪
 七浜高校水族館部のひとり部員だった優等生。
 ただ、周囲の期待する優等生としてあるのに息苦しさと孤独を感じていた。

・広瀬楓
 小夏のクラスメイトで友人。
 明るく元気なお姉ちゃん子。

あらすじ

 父親の仕事の都合で一人、叔母の元へ引越し七浜高校へ転校してきた主人公・天野小夏。
 父親には一人でも大丈夫と言ったものの、一人ぼっちで寂しくて不安だった。

 七浜高校では月に一度水族館部が一般公開を行っていた。
 そこで見かけた何もいない水槽を見ていると、帆波小雪に声を掛けられる。
 まだうちの水族館に来たばかりでまだ一度もお客さんに姿を見せたことのないシャイなサンショウウオだと。

 小夏はサンショウウオと同じように誰とも交わらずにいた小雪の水族館部に入ることを決めた。

 水族館部の活動や花火を見に行ったり、一緒に過ごすにつれて小雪のことを知りたいと思う小夏。
 高嶺の花と一人になっている小雪に自身を押し殺さないでほしい、みんなと打ち解けてほしいと思う一方で、自分が一番に受け入れると思っていた。
 それなのに変わらないで自分の側にいてほしいとも思っているのに、伝えられずにいた。

 小雪は一人だった水族館部が小夏の入部で一層楽しくなり、優等生ではない本当の自分を見つけようとしていた。
 そんな自分の変化もあり、周囲との関係も少しずつ変わりクラスメイト達とも遊びに行くようになった。
 進路も決め新しい部員を勧誘して、自身がいなくなっても寂しくないようにと思っていたが、今の自分になれた小夏の気持ちに気づけないでいた。

 

感想

 寂しがりやな二人が相手を知ることに、自分の気持ちを伝えることに怖がりながらも相手を求めてやまない、でも言葉足らずだったりすれ違ったりしてしまう話。
 相手が、相手の気持ちが自分の思っているものと違ったら、知りたくて確かめたくて、でも怖い。
 思い悩みながらも伝えるか、伝わるか。
 届いたとちゃんとわかった小夏ちゃんの中では色んな思いがあったんでしょうね。
 
 エピローグ、彼女たちの出会いを思い起こさせる終わり方。
 小雪の問いかけは同じなのに小夏の返答は短くも確かなものになっています。
 こういうの良いですね。

余談

 1巻からカバーは水中をイメージしたものになっていましたが、9巻では浜辺になっています。
 小夏ちゃんの制服やカバンにつけたカエルとサンショウウオのマスコット人形など、読み終わった後だと泣きそう。

作者・書籍関連

 萩埜まことさん
 https://twitter.com/haginomakoto


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