【感想】彼女はもう死んでいるのに！（１巻完結）

　人間はアンドロイドで作れるのか、そういった話が好きな方におすすめ
　SFというよりもヒューマンドラマ重視。

基礎情報

　死んでしまった彼女に、また会える？

　人間とアンドロイドが共生している世界。
　「アンドロイドより不出来だから」という理由で親に捨てられた１６歳の人間の少年・朱（あか）は、風変わりな姉弟が二人で暮らすアパートの住み込み管理人の仕事を任されることになった。
　傷ついた朱を温かく迎え入れる姉の霞（かすみ）と、アンドロイドを治す医者の弟の千秋。
　姉弟との穏やかな日常生活の中で朱は次第に安らぎを見出していく。

　だがある日、病弱だった霞が突然死んでしまって―――？

出典：彼女はもう死んでいるのに！裏表紙

感想概要

感想

　親に捨てられた少年・朱がある姉妹の住むアパートの住み込み管理人の仕事を任されるところから話が始まります。
　アパートには病弱だけれども明るく優しい姉・霞とアンドロイドの医者で弟の千秋が暮らしています。

　３人で穏やかな生活を送っていたところ、病弱だった姉の霞が急死。そこで千秋がアンドロイドで霞を作ると言い出します。
　その後、アンドロイドの霞を作り上げ、一緒に生活をするようになりますが、アンドロイドの霞を亡くなった姉の霞として認識できるのか、違いは何なのか、戸惑いや再認識などを経て、亡くなった姉の霞は彼女しかいないということにたどり着きます。

　登場人物も少なくストーリーは一本道で長くありません。しかし、キャラクターの心情やその動きを細かく描写していて朱にも千秋にも感情移入しやすく、冗長な部分が多くないのでわかりやすいです。
　ネタバレになるので細かい描写を書くことはしませんが、親に捨てられた朱と親を捨てた千秋の対比とか、ホットミルクでいろいろと気付いたり気付かされたりするのはうまいというか、面白いなと思いました。
　本編の最後（書き下ろしの前）の４ページ、亡くなる前の霞の描写があります。ストーリー内の時間から考えればほんのわずか、ここだけ見ればなんということはない些細な出来事なのですが、そこに含まれた霞の心情が本当に人間という感じでたまらなく好きです。　

作者・書籍関連

　時計さん
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