著作物である漫画と著作権は切り離すことができません。漫画の電子書籍化(自炊)でも問題になることがあります。法律には詳しくないので調べた範囲で記載していますので、正確なところは法律に詳しい方に聞いていただければと思います。
著作権とは簡単に言えば、著作者が自身の著作物に関して所有する権利です。この権利があることで著作物が勝手に複製や放送をされないように保護されています。
紙書籍の漫画に関しても無断複製等は違法です。以前は実際上個人の利用での複製はコピー機で複写すればできたでしょうが、そこまでして得られるものは少なかったということでしょう。そんなことをするくらいなら買ったほうが早いです。
しかし、現在ではパソコンやスキャナーが発達し個人の利用でも簡単に複製ができるようになり、データ化すればさらに複製が簡単となりました。
さて、電子書籍(自炊)の個人利用に目を向けると、何が問題になるのでしょうか。
0.電子書籍化(自炊)自体は合法
個人が所有し、個人が利用するための電子書籍化(自炊)は合法です。
(私的使用のための複製)
第三十条 著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
一 公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器(複製の機能を有し、これに関する装置の全部又は主要な部分が自動化されている機器をいう。)を用いて複製する場合
出典:著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)
1.自炊を委託できない
自炊作業が面倒なので業者に任せようというのは誰もが思いつきますが、これはできません。判例が少ないため「どの範囲まで」「どの程度」というのがやや曖昧ですが、自分で電子書籍化するのはOK、業者に丸投げするのはNGと考えるのがよいと思います。
判例を読んで解釈する限りでは以下のようになると思います。
・業者に機器を借りて自分で自炊するのはOK
・業者に機器、方法等を指定して作業を委託するのはたぶんOK
・業者の裁量、判断が入る作業の委託はNG
事件番号 | 平成24(ワ)33525 |
事件名 | 著作権侵害差止等請求事件 |
裁判年月日 | 平成25年9月30日 |
法廷名 | 東京地方裁判所 |
また、最近の漫画の奥付には電子書籍化(デジタル化)や第三者への委託について触れていることが多いです。
出典:ガンバレット×シスターズ1巻奥付
2.友人への譲渡
電子書籍化したデータを販売することは著作権法違反ですが、友人へ電子書籍したデータをあげる(譲渡する)のはどうでしょうか。
基本的にNGと考えたほうがよいでしょう。紙媒体であればモノは一つなので「譲渡」と考えられますが、電子書籍化したデータの場合には「コピー(複製)」ととらえられてもおかしくありません。
(譲渡権)
出典:著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)
第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。
3.友人への貸与
学校の友達同士で漫画の貸し借りをしたことはありませんか?それと同じように電子書籍化したデータのやり取り(貸出)を行うと考えた場合には、NGと考えたほうが良いです。
(貸与権)
出典:著作権法(昭和四十五年法律第四十八号)
第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。
ざっくり言ってしまえば、以下は合法でそれ以外は違法と考えればよいと思います
・自分で買ってきた(自身の所有する)漫画を自分で電子書籍化する
・電子書籍化したものを自分(と家族まで)で利用する