電子書籍化において、スキャナーは重要です。
自炊(電子書籍化)におけるスキャン画像
電子化が目的であり、その手段としてスキャナーにより印刷物をスキャンしています。
手段が適切・効率的でないと目的の達成が困難になります。
先日スキャナーを新調しましたが、効率が悪いためスキャナーを前のものに戻しました。
理由としては以下のとおりです。
・スキャン画像が満足する水準に達していないから
・満足する水準に達するためには時間をかける必要があったから
スキャナ選び(今更)
以前の記事でスキャンした画像の確認作業を紹介しています。
塵や汚れ等による白線、黒線はADF(Automatic Document Feeder:自動原稿送り装置)では避けて通れない問題です。
塵や汚れが少しでもあれば、原稿を送って(移動させて)読み取るため白線や黒線となって現れます。
これを解決するには前述の記事のように一定の基準でスキャン画像の汚れ部分を容認するか、ADFではなく一枚一枚(漫画などの冊子だとさらに両面)をスキャンしていく(フラッドヘッド型)必要があります。
当たり前ですが一枚一枚両面スキャンしていくのはやればできますが、圧倒的に時間がかかります。
しかも漫画の自炊の場合、裁断する作業があり機械のような四角になりません(裁断は裁断機を使うとはいえ人力なので完全に垂直にはなりません)。
加えてサイズもさまざまで、B6と言っても出版社によって少しずつ異なります。
中には新刊でも小口が凸凹になっているものもあり、これを一つずつ補正するのは現実的ではありません。
(少し大きめにとって後でトリミングするということも可能ではありますが)
また、スキャナーの種類にもよりますが、フラッドヘッド型はスキャンのガラス面の「スミ」までスキャンできないものもあります。
(=スキャナーのスミに合わせると画像がきれる)
長くなりましたが、結論としてはADF型のスキャナーで電子化するのが時間的にも作業的にも効率的です。
ADF型スキャナーによるスキャンの前提
電子化にはADF型のスキャナーが効率的で、スキャン画像のクオリティについても一定の基準があれば均一的な水準で作業を行うことができます。
ただ、これには記事で言っていない前提があります。
それが、「表面と裏面のスキャン画像のクオリティに差が少ないこと」です。
先日の記事で新調したスキャナーでの電子化をやめ、前のスキャナーで行うことにした最大の問題はここです。
先日の記事を見ていただければわかりますが、表面と裏面とで明らかに色の濃さが異なっています。
また、裏面では一定の個所から濃淡が変わっていることも見て取れると思います。
実はこれが漫画の電子化には結構な難点です。
漫画は前述の「サイズ」だけでなく紙の厚さ、質が異なります。
薄いし裏写りするし紙としては高級品と言い難いと思います(安価に提供できる企業努力ともいえると思いますが)。
そこに印刷された漫画をスキャンして一定の水準に給うとするのですから表面と裏面とで色の濃さが異なるのは大問題です。
裏面としてスキャンすれば裏写りせず(裏写りが薄く)見やすいのに、表面としてスキャンすると裏写りしてしまう、ということです。
例として画像を掲載しますが、表面としてスキャンしたものには前ページ(スキャンした面の裏側の)ふきだしやコマ割りと思われるものがわりとわかりやすく裏写りしています。
一方、裏面としてスキャンした場合にはうっすらとした裏写りしていますが、表面とスキャンしたものと比較した場合には明らかに差があります。
これを解決するためには表面と裏面とで明らかに色の濃さを一定にすればよいのですが、生憎ScanSnapにはそのような機能はありません。
(念のためサポートセンターに問い合わせました。サポートセンターでご対応いただいた方ありがとうございました。)
そうなると表面裏面を一度でスキャンしていた作業を以下のように分解して行う必要があります。
①一旦最初のページから全部のページをスキャンする
②最後のページからスキャンする(表面と裏面を逆にする)
③①でスキャンした画像から偶数ページ(又は奇数ページ)だけを抽出
④②でスキャンした画像から奇数ページ(又は偶数ページ)だけを抽出
⑤③と④を合わせて全部のページがスキャン完了
→スキャンした画像の確認へ
単純にスキャンに手順が多くかかり、2倍の時間がかかり、手順が増える分間違い(ファイルの番号=ページ番号の間違い)等が増えます。
さらに確認作業で修正用にスキャンする場合も表面でとるか裏面でとるか考えたり
加えて以前の記事でありますように、裏面では一定の個所から濃淡が変わっていることからスキャナーのどの部分でとらないといけないか考えたり…。
確認・修正作業も含めて1冊1~1.5時間かかっているものが、2.5~4時間もかかりました。
正直やってられません。
不幸中の幸い
新調のきっかけとなった「ScanSnap ix1500」の白線が出てしまう問題ですが、幸いなことに自分の予想とは裏腹に故障ではなかったようです。
新調した「ScanSnap ix1600」で前述のクソ面倒な手順により電子化をしていたのですが、あまりにも効率が悪くやってられないので、どうにかならないかと「ScanSnap ix1500」を再度徹底的に清掃したところ、白線が出なくなりました。
どうやら目に見えないゴミが付着していたようです。
前の記事を見ていただければわかっていただけると思いますが、裁断時に残った冊子化のための糊やその他のごみがついてるのは目視で確認できません。
ただ、指でガラス面を触れてみたところ若干、本当に少しだけざらついたような感覚がしたのでその部分を徹底的に清掃しました。
調べてみたところ、人間の指先は13ナノメートルの凹凸も感じ取れるとのこと。
一般人なので感度1/100だとしても1300ナノメートル=0.0013ミリメートルを感じ取れるということでしょうか。
(人の髪の毛の太さが0.05ミリメートルなので、その1/50まで感じ取れるということらしいです)
人間の指先はナノサイズの隆起も感じられる敏感さであることが判明 Gigazine
https://gigazine.net/news/20140115-finger-detect-nano-scale/